――売店では、ファンが購入したグッズに馬場さんがサインを入れてくれるんですよね。

和田「あれには2つの意味があるんですよ。ひとつは、グッズが売れると『ジャイアン
ト・サービス』から僕らに売り上げの10%、お金が入るんです。だから馬場さんが
『俺がサインをすることでグッズが売れれば、オマエたちの分け前が増えるだろ』と。

――なるほど。

和田「ジャイアント・サービスが80%、グッズのキャラクターになっている選手に
10%、僕らに10%。『オマエたちの給料は安いけど、これで小遣いになるだろ』と」

木原「僕はある時期から外国人レスラーの担当になったんですが、シリーズが終わると
最終戦の日本武道館で預かった10%分のお金を預かって、外国人が泊まっているホテル
に行って渡すんです」

和田「馬場さん以外の選手とすれば、自分がサインをすることで自分のグッズを売りたい
わけですよ。三沢が俺に『サインして売りたい』と言ってきたこともあったけど、『毎日、
馬場さんがやっていることを奪ったらまずいだろ』と」

――サインを書くもうひとつの意味はなんですか?

和田「馬場さんいわく『俺のためになる』と。『なあ、京平。サインをもらってファンに
ならない人間はいないぞ。俺を応援してくれるぞ』って。馬場さんって、トシを取ってから
また人気が出たじゃないですか。以前は『もうやめろ!』とヤジを飛ばされていたけど、
来る日も来る日も会場でサインをすることで、少しずつファンを増やしていった。あれも
馬場さんの戦略だったんだよね」
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