プロレスは八百長だインチキだと言われながらも上手いこと出来ていて勝負はプロレスの世界の中だけで完結してるから他所に迷惑かけてないし
世間の方も「あんなもの」と冷たい視線を向ける一方で「お芝居の中の話に目くじら立ててもしょうがないし」と存在を許してくれてもいたんだよな
これが野球やボクシングなら大問題だし、通なら誰でも知ってるレベルの相撲でさえあれだけ大騒ぎになった事を思えばプロレスは正しく理解され許されていた

猪木の異種格闘技戦もケツ決め試合の成果で柔道や空手に勝ったからプロレス最強だと言っていたのは本当は周りに迷惑かけててマズいんだけどこれも「言ってもプロレスのファンタジーのお話だし」と正しく理解されていたから社会問題にはならなかった
本当にプロレスを守ってくれていたのは実はファンやレスラーが憎んでならない「冷たい世間」だったんだよね。冷たいからこそプロレスを正確に理解して許してくれていた

UWFも異種格闘技戦の発展形のプロレスで「猪木さんもやってた事だから大丈夫だろう」とUの人たちは思ってたかもしれないけど
この時は世間が信じちゃって正しい理解を示していたのは本職の格闘家か親UWFでないメディアか一部マニアくらいだったからつまり「まあプロレスだし」で社会に許される防波堤を失っちゃったんだよね
昔の新日系レスラーはあくまで「冷たい世間に許されていた」側のプロレスに居たからコンプレックスを持ちながらも自分のキャリアを誇れるけど
Uの人達はその許しを遂に得られなかったから「総合格闘技の礎になった」とか「あの時点での本当の強さを求める戦いだった」みたいに格闘技側の価値観を持ち出さないとプロレスラーとしての自分を肯定できなくなっちゃった

前田を始めとしたU系の人達の気まずさ歯切れの悪さはその辺にあるんじゃないかなと思う。プロレスは実は世間から貰えていた許しを得られなかったという
その後純プロで成り上がった鈴木みのるや自分史を格闘家として作り直した高田なんかはUとは違う土台を手に入れたからちょっと違うんだろうけど