その映像を、俺は見たんだ。ほかの選手からも、聞かされた。相手選手のフィニッシュホールドを大勢の観客の前でバカにするなんてありえないよ。
そのことを試合中にわかっていたならば、リキ・ラリアットを3〜4発連続して受けた後、ワン・ツー・スリーのワンで俺は立ち上がったよ。
そして、「ふざけるな! お前のラリアットなんてきいていない」と怒鳴り、リングから降りたよ。そのまま(控え室に)戻ったさ。そんな試合は放棄だ。
馬場さんなら、許してくれたんじゃないかな。プロなんだから、(試合中に)やっていいこと、いけないことがあるわけ。

 相手を持ち上げることで、自分も持ち上げてもらう。それでお互いで試合をつくる。それができるのが、プロだと俺は思う。長州は、それを知らないのか。
知っていてやっていたならば、人間性も3流だからか…。

 あの試合でいえば、長州がベビーフェイスだったのかもしれない。それはそれでいい。役割があるんだから…。だが、観客に対してのあのジェスチャーはないよ。
プロの仕事ではない。ひとりで試合をしているんじゃないんだ。俺の立場やプライドは、どうなるんだ?プロレスラーの強さって何なのかをわかっていない。(中略)

 お互いが、プロなんだから。お互いに持ちつ持たれつでないと…。(会社がひいた)レールの上を走ってきたスター選手は、そこを勘違いしているんだ。
(ジャンボ)鶴田もわかっていなかった。俺が長州や鶴田に嫉妬? そんなのないよ。こういう社会だというのを俺はあいつらよりも先に入門し、わかっていたから。