IWGPアジア代表権を賭けたラッシャー木村とサカのシングルマッチ、
いつものようにサカは単なるやられ役になってしまうのか、
このシングルはラッシャーにとって猪木戦にむけてのアピールの場でしかないのか。
私は少々落胆しながらテレビ桟敷についた記憶がある。
実況でもサカのことを「猪木の防波堤」などと表現し、それを聞きさらに暗澹たる気持ちになってしまった。
しかし、ゴングが鳴るやそれは杞憂でしかなかったことにを私は思い知らされる。
サカはラッシャーの数段上をいく段違いのパワーを見せつけ、
最後はボストンクラブで締め上げた状態で木村がまったく無抵抗状態になり
私は「やったっ!!!!どうだ!!!!三鷹!!!サカの実力、パワーをグゥゥゥゥゥゥォォォォォォ」と
テレビ桟敷席で積年の恨みが晴れ、いよいよビックサカ時代到来を確信したのだが、
その直後、国際はぐれ軍団の浜口、寺西が無法にもリングに闖入し、サカに襲い掛かるではないか。
不細工な小兵のふたりがサカの端正な顔面を踏みつけ思うがままに蹂躙するその光景は、
巨大で凛々しいヘラクレス像が汚く矮小なドブネズミに齧られてるかのような奇妙な倒錯的光景に見えた。
当然、息を吹き返したラッシャーも蹂躙に加わり、試合でのうっ憤を晴らされてしまうサカ。
いつものように悲しい気持ちになったが、「ああサカの試合を見たんだな」という不思議な充実感も味わうことができた。