裁判では、X被告の手口が次々に明らかになっていった。常習的な手口はこうだ。
担任するクラスの女子児童の中で、物静かで、大人に告げ口しなさそうな子供を選んでは、
理由をつけて空き教室や校内の倉庫などに呼び出す。そうして2人きりになると、
X被告は児童に自分の局部を咥えさせたり、押し付けたり、児童の陰部を触ったりしていたという。
その一部始終をカメラで撮影し、映像に残していた。
中でも犯行の状況が明らかになったのは、Dさんに対する犯行だ。
Dさんは担任だったX被告から、5回の被害を受けた。初めて被害を受けた際、Dさんは忘れ物をしたことから、
X被告に教室に残るように言われ、「服をまくって」と体操服を胸の下あたりまでまくらされ、下着が見える状態にされたという。
その日は服をまくり上げるだけで終わったが、その後、X被告の犯行は加速する。
別の日には、Dさんが友人とトラブルになり、再び教室に残るよう言われた。
今度は服をまくらされることはなかったが、「体だけは大人になりやがって」と服の上から乳首を触られたという。
Dさんは当時を振り返り、「すごく怖かったです」と話した。
3回目も1人で教室に呼び出された。1回目と同様、服をまくるよう言われた。
Dさんが上衣を下着が見える位置までまくると、X被告から「インナーもまくって」と指示され、その通りにした。
5〜10秒、X被告はDさんをまじまじと見つめると、「次(忘れ物)やったら、またひどいことするよ」と脅した。
4回目も、だいたい同じ状況で、今度はデジカメでDさんが服や下着をまくる姿を撮った。
最後の被害の際は、校舎内の倉庫に呼び出された。「服、脱いで」。X被告の指示に、恐怖をおぼえたDさんは着ていた服を全部脱いだ。
そして、X被告はDさんの陰部を指で触ったり、胸をなめたりした。さらにX被告はズボンを脱ぎ、Dさんに局部を握らせ、
「なめて」「もっとなめて」と執拗に求めた。Dさんが手を引っ込めると、X被告は諦めたようで、
「汚れたから口とか手、ゆすいでおいて」と言い残し、Dさんを解放した。
X被告はこの日も、一部ではあったが、犯行をカメラで撮影していた。
出廷したDさんは、繰り返し被害に遭っても周囲に相談できなかったのは「家族に心配をかけたくなかった」からという。
「できれば死刑になってほしい。それが無理なら、できるだけ長く刑務所にいてください」。