>>500続き

望月 一方、若い世代が自民党を支持する理由は、やはり「雇用」だと思います。政府は有効求人倍率の高さをアピールしているし、実際、就職は売り手市場になっている。
若い人たちは改憲などイデオロギーに関する問題よりも、自分たちの仕事に関する経済政策を重視している。でも、明石さんは「雇用の改善もアベノミクスとは関係ない」と指摘していますよね。

明石 関係ないですね。現実には民主党政権時代から雇用状況は改善されてきています。その理由として、まず挙げられるのは「生産年齢人口の減少」です。要するに人手が足りない。
特に新卒の人にとっては、ここ数年で団塊世代がゴソッと現役から抜けたわけですから、当然、椅子は空くわけです。あとは医療・福祉分野がすごく伸びていて、4年間で100万人以上増えています。
それ以外で何が増えているかといえば、小売とか飲食です。これらは国内で儲けているわけですから、アベノミクスによる円安は全然関係ない。
むしろ円安による輸入食材の値上がり分のしわ寄せが、労働環境や賃金に反映される危険性すらあると思います。
もうひとつは、雇用構造の転換です。正社員はなるべく雇わずパート・アルバイトで賄(まかな)う。
医療・福祉も小売も飲食も、みんな非正規雇用で回していくのが一般化しているので、当然、数字の上では「有効求人倍率」も「有効求人数」も上昇するよね、という話です。

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明石 このように分析すると、雇用の改善とアベノミクスは全然関係ないということが見えてきます。特に医療・福祉分野の雇用は、この先どれだけ不況になっても、
社会保障費を削減しない限りはどんどん増えていくでしょうね。