[コラム]G1は重くて、そして遠い・・・
2019/05/20

19日(日)の東京11Rオークス(G1)。
最後の直線に入り、残り400メートルのハロン棒付近で先頭に立ったカレンブーケドール。
そのカレンブーケドールの脚色はなかなか衰えず、後続の馬たちも捕まえることが出来ない。
この時、鞍上の津村明秀騎手はどんな心境だったのだろう。「これでようやくG1を勝てる!!」そんな想いだったのだろうか?
だが、ゴール手前でミルコ・デムーロ騎手が乗るラヴズオンリーユーに交わされ、クビ差の2着・・・。

カレンブーケドールは全ての力を出し切ったに違いない。
津村明秀騎手もカレンブーケドールが持つ全ての能力を引き出したことだろう。
いや、その能力以上のものを引き出していたのでは・・・。
今年2月に同じ府中で行われたクイーンカップでは4着に敗れていたのだから(当時は戸崎圭太騎手騎乗)、そんな推測も間違いだとは言い切れない。
だがそれでも2着。G1タイトルは近いようで、まだまだ遠い・・・。

このオークスの後、グリーンチャンネルでは同じ日に京都競馬場で行われた小林徹弥騎手の引退式を映像で伝えていた。
ファンへの挨拶で「G1を勝てなかったことは少し悔いがありますが」と語る小林徹弥騎手の様子に、騎手という職業の人にとって「G1」という存在がどれほど大きなものか、改めて感じたのは私だけだろうか?
津村明秀騎手の「G1ジョッキーまであと一歩・・・」という騎乗を見た後だけに、その小林徹弥騎手のコメントがより印象に残ってしまった。

小林徹弥騎手はG2・G3では5勝を挙げている。
津村明秀騎手はG3で12勝を挙げている。
だが二人とも「G1」には手が届いていない。
きっと重いモノなのだろうなあ・・・、G1って。そんなことを考えながら、メディアに流れる「直線は長かった」という津村明秀騎手のコメントを見ると、切ない気持ちになる。
勝負の世界なのだから「切ない」なんて、言ってはいけないのだけど・・・。