とある寂れたネット番組『永井配信』、時刻は深夜2時をまわっている
生放送業界はyoutuberの進化により
視聴人数減少の一途をたどり、チャンネル閉鎖、蒸発が増える一方だった。
ライムチャットに響く妖精たちのため息、どこからか聞こえる「また視聴者が減った…」の声
無言で帰り始める妖精たち…あれほどいた友人たちも今ではほとんど浩二の元から去っていった
かつての配信界のパイオニア永井浩二は独りレッツノートを枕に泣いていた
生放送で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる仲間たち・・・
それを今の永井配信で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすればええんど・・・」浩二は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、浩二ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいレッツノートの感覚が現実に引き戻した
「カネナイガー、お前ら助けてくれや・・・」浩二は苦笑しながら一人呟いた
立ち上がって伸びをした時、浩二はふと気付いた

「あれ・・・?配信ついてる・・・?」
浩二が目にしたのは、妖精に加えてリスナーのコメントで埋めつくさんばかりのライムチャットだった
アイフォンには見きれない程の不在着信で埋め尽くされ、FC2のチップはすでに100万を超えている
どういうことか分からずに呆然とする浩二の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「おうおうおうお疲れお疲れ」声の方に振り返った浩二は目を疑った
「ひ・・・ひろいき?」  「みんな待ってるぞいくぞ!」
「ひろゆきよぉ・・・」 浩二は半分パニックになりながらモニターを見上げた

兄弟Godバトル マッチ100本 ミリオンゴッド神々の凱旋  vs アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-

ミリオンゴッド神々の凱旋 永井浩二
アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.- 永井博之

暫時、唖然としていた浩二だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「お前ら・・・戻ってきたんだ!」
1万人の視聴者が見守る中、華麗な配信技術を披露する浩二、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、畳で冷たくなっている浩二が発見され、jukeは病院内で静かに息を引き取った