予備試験の合格に必要な勉強量は、常軌を逸する量でしたので、到底彼女と遊ぶ時間はありません。それをやれば確実に合格が遠のいてしまう。私の部屋に来た時も「本当つまんない。はぁあ。つまんない」と毎回ため息をつかれ、「受かるわけないじゃん」とまで言い出しました。ちょっと喧嘩になると「無職のくせに」と言われます。そして、会う度に文句を言われるようになりました。「本当、つまんない。一緒にいる意味無いじゃん。帰る」そういって帰ります。私は心にチクチクと刺さる棘を我慢しながら、何度も説明しました。今勉強しておかないと、私は未来の自分の子供と君を守れなくなると。大切に想っているから今勉強しているのだと。いつかはきっと理解してくれるはずだと思っていました。でも、最終的には他に男ができた
ようで、振られました。この時の心境を
どう伝えればいいのか。言葉が見つかり
ません。短答式の過去問を眺めてはいるのですが、涙がジワッと溢れてきて、文字が滲む。何度も夢に出てきて、夢の中でも何度も振られました。私の一方的なものでしたけど。彼女と知り合ってから4年半の間、ずっと仲良しで、付き合ってからも仲良しのままでした。あれほど上手く行くことは滅多にない。明るい天然の子だから私のような変人と一緒にいれたのだと思います。私の中で、彼女の存在は相当大きなものでした。私には友達も居ないですし、頼れる家族もいません。彼女だけが私の理解者であり、家族でした。しかし、私が一番辛く苦しい時に、彼女は私以外の人との未来を選んだ。その事実が、私の感情を大きく揺さぶりました。とてもじゃないですが、平然と耐え凌げる程度の痛みではなかった。
恋愛関係の孤独は、とても言葉では表現できないほどの痛みを伴います。私も予備試験の勉強期間中、ずっとその痛みに耐えていました。そして、こう考えることにしました。「私は既に死んでいると思うことにしよう」こう考えれば、私にできることは一つしかありません。彼女の幸せを願うことです。私というゴミクズのような人間と一緒にいるより、きっと今の彼の方が幸せです。彼女はとても素晴らしい性格をした子でしたから、きっと温かい幸せな家庭を作るでしょう。死んだ人間として、遺された人達の幸せを願うのは当然のことです。彼女が幸せであるならば、それでいいのです。