平成23年
〔第18問〕(配点:2)詐害行為取消権に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。

1.不動産の譲渡が詐害行為取消権を主張する債権者の債権成立前にされている場合には,債権成立後に所有権移転登記がされても,
当該不動産の譲渡行為及び所有権移転登記は,いずれも詐害行為とはならない。

【法務省の正解 1 4】だと1となってます。判例の趣旨というのは昭55.1.24を指すと思います。
【辰巳の短答過去問】も55年判決から〇としてます。
しかし、【LEC 体系別短答過去問題集】によるとこの肢は×になっています。

昭55.1.24 「詐害行為と主張される不動産物権の譲渡行為〈贈与契約〉が債権者の債権成立前にされたものである場合には、たとい
その登記が右債権成立後にされたときであっても、債権者において取消権を行使する由はない」と述べた。
 この判決は、被保全債権が詐害行為となる契約締結時より先に成立していることが必要であるとした点で重要(略)内田V305頁

55年判決の趣旨から言うと、〇だと思ったのですが、LECの解説に不安を感じ、「一問一答100頁」を読んでも書いて無く、
潮見「改正法の概要85頁」を見ると「前の原因に基づいて生じた」場合についての記載がありました。「詐害行為取消権が認められる
場面の拡張をもたらしている」とあります。そこで、「新債権総論T」調べてみると下記のようにありました。
この潮見先生の理解とLECの解説、@債権の発生「原因」A不動産の譲渡(詐害行為)B債権成立C所有権移転登記が正しければ、
この肢は改正法によって×になるのでしょうか?