構成要件に関する西田・松原説が議論されているので、気になって曽根原論を読み直したのだが
原論418ー9頁は西田・松原説のルーツが佐伯千・中山説にあることを見落としている。
佐伯千説の場合、違法類型としての構成要件のほかに、責任類型の側面が予定され、両者が
合体して「犯罪類型」を形成するものとされている。それは可罰的違法性の理論から導かれた
ものであって、正当化事情の錯誤の解決のために提示されたものではない。
しかし、西田・松原説が、正当化事情の錯誤の解決のために主張されたものだとしても、それは
不当なことではない、
「そもそも、構成要件はどうあるべきか」ではなく、「個別の問題を解決するために構成要件は
どう組み立てられるべきか」という思考方法が正当である。
そのような意味では、中・井田説(消極的構成要件要素の理論)も決して一笑に付すべき学説
ではない。