商法(総則・商行為・手形小切手)の勉強法
>>211
要件事実論的に、説明をして進ぜよう。 以下では、拒絶証書の作成等の要件は除いて記載する。
X振出、Y受取、Y裏書、Z取得という流れだとする。 手形面上の記載 「X→Y Y→Z 」
この場合、Xが未成年でXの振出が取り消されたとする。
ZがXに対して手形金を請求する場合の請求原因事実は以下のとおり。
1)Xは約束手形に署名をし、当該手形を交付した(つまり、手形債務発生)
2)Zは裏書の連続する手形を所持している。→Zは手形上の権利者であることが推定される。
これに対するXの抗弁は以下のとおり。
3)Xが振出行為(手形行為)をした時点で未成年であった。
4)当該行為を取り消す。
Xの抗弁は認められ、ZはXに手形金の支払いを請求できない。
つぎにZのYに対する請求原因事実は以下のとおりである。
5)Yは当該約束手形に裏書(署名)した
6)Zは裏書の連続する手形を所持している。
→Zは手形上の権利者であることが推定される。
Yに抗弁は認められない。したがって、Zの請求は認められる。
以上は、当然説からの説明。 政策説なら、つぎのようになるのかな。
5)Yは当該約束手形に裏書(署名)した。
6)Zは裏書の連続する手形を所持している。
→Zは手形上の権利者であることが推定される。
Yの抗弁は以下のとおりかな(?)。
7)Yの裏書きの前提となるXの振出行為が無効であること。
8)7の事実にZが悪意・重過失であったこと。
仮に政策説に立ち、Yの抗弁を認めたとして、 YがXに請求するには、上記3・4の抗弁を否認するほかない。 しかし、Xは未成年であることが前提であり否認できないので、YはXに対して手形金を請求できない。
したがって、無限ループは存在しない。以上、ざっくりと。 ごめん。まちがった。
以下訂正。
ZがYに対して手形金を請求する請求原因事実は以下のとおり。
5)Yは当該約束手形に裏書(署名)した。
6)Zは裏書の連続する手形を所持している。
→Zは手形上の権利者であることが推定される。
Yの抗弁は以下のとおりかな(?)。
7)Yの裏書きの前提となるXの振出行為が無効であること。
8)7の事実にZが悪意・重過失であったこと。
Yの抗弁が認められず、Yが手形金を支払った場合、YからXへの手形金請求原因事実は以下のとおり。
1)Xは約束手形に署名をし、当該手形を交付した(つまり、手形債務発生)
2)Zは裏書の連続する手形を所持している。→Zは手形上の権利者であることが推定される。
これに対するXの抗弁は以下のとおり。
3)Xが振出行為(手形行為)をした時点で未成年であった。
4)当該行為を取り消す。
Xは未成年者なので、この抗弁は認められる。
したがって、ZがYに請求できたとしても、YはXに請求できず、請求はループしない。