>>678 続き

 接触感染は感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れると感染者のウイルスが付着する。
未感染者がその部分に触れるとウイルスが手につき、その手で目をこすったり、傷口に触れたりして、あるいは口や鼻の粘膜から入り込んで感染する。
物にくっついた新型コロナウイルスが死滅するまでの時間は、物の材質によって違い、3時間から数日かかるとされている。

 体内にウイルスを取り込んでも症状が出るとは限らない。体の免疫系が正常に働いてウイルスの増殖を防いだ場合は、症状が出ないまま完治してしまう。
そのため、潜伏期間(ウイルスを体内に取り込んだものの症状が現出しない期間)は最大で2週間程度と考えられている。

 ここで湧き上がってくるのが「潜伏期間中はウイルスをばらまくことがないのか?」という疑問だ。新潟大学医学部名誉教授で予防医療学が専門の医学博士・岡田正彦氏は次のように解説する。

「米国の科学雑誌『サイエンス』に発表された米、英、中国の大学の合同研究によると、中国の武漢を中心とした375都市の感染者1万1829人のデータをもとにシミュレーションした結果
、都市封鎖前後で感染性期(人にうつす感染性を擁する期間)は、封鎖前が3.47日、後が3.31日でした。

 つまり、発症後3〜4日は人にとくにうつしやすいことがわかる。一方、発症前は人にうつすほどウイルスが増えていないので、感染力は低いと考えられていました。
ところが同研究から、たとえ無症状であっても、発症している人の5割くらいは感染させる力があることもわかりました。そのため、人と人とが近距離で接触しないことが全体の感染リスクを減らす唯一の方法なのです」

「発症していなくても自分の体内にウイルスがいるかも」と思って過ごすことが重要であることがわかる。

【4】それをどう殺すのか