・鼻:嗅覚・味覚異常(軽症)
新型コロナウイルス感染症の初期症状、特に40歳以下の人々には嗅覚異常と味覚異常が報告されている。韓国では30パーセント、ドイツでは67パーセント(3人中2人)というかなりの割合のCOVID-19患者が、嗅覚・味覚障害を報告している。
ポイントは、鼻詰まりの症状ではなくても、においや味覚が薄れたりまったく感じられなくなったりすることだ。嗅覚・味覚異常の患者は男性よりも女性にやや多く、COVID-19の症状自体も比較的軽症で済むことがわかっている。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の調査によると、嗅覚や味覚の喪失の多くは軽度ではなく、まったく感じられなくなる深刻なものだとしている。しかし回復率は高く、感染後2〜4週間以内に嗅覚と味覚が回復することが報告されている。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では新型コロナウイルスの陽性と診断された人たちは、陰性と診断された人々よりも嗅覚・味覚異常を報告する可能性が10倍以上だと発表している。
このことから、嗅覚・味覚異常は新型コロナウイルスの陽性診断において信頼性の高い予測因子であることが示唆されている。

においを脳に伝える嗅細胞には、ACE2とTMPRSS2遺伝子は発現していない。このため嗅覚・味覚異常のメカニズムは、これまでは不明だった。
しかし、新たな報告では、嗅細胞の周りにある嗅覚上皮の支持細胞や幹細胞は、鼻呼吸器上皮の細胞と同様に、これらの遺伝子の両方を発現していることがわかった。
この知見は新型コロナウイルスへの感染が嗅覚・味覚異常を引き起こすメカニズムを示すものである。