同時代のゲーム機&マイコンの音源と比べると、
ファミコンのそれは明らかに高性能で、そして、「異質」であった。

他機種が矩形波3音+ノイズという構成が主であったのに対して、
ファミコンは矩形波2音+三角波1音+ノイズ+DPCM。

三角波を使う事により、矩形波には難しい低音域の再生が可能になり、
楽曲の表現の幅が広がった。

更に、DPCMを使用する事により、外部からの音を取り込む事によって
内蔵された音源からは作る事が難しい音を再生する事が可能であった。
(ノイズだけでは表現しきれないドラムの音色や、一部ソフトのボイス等)

最初期のROMの容量から考えると、
容量を大量に食うDPCMを扱う事はまるで夢物語のような話ではあったが、
(ロンチタイトルである「ドンキーコング」の容量は192Kbit)
技術の進歩に伴い、大容量のROMが生産されるようになると、
多くのソフトでDPCMによる個性的な音が鳴らされるようになる。

また、カートリッジROMの内部に別途音源チップを搭載することにより、
音源を拡張し、同時発音数を増やしたり、
内蔵音源とは違う種類の音源チップから音を鳴らす事も可能だった。
(コナミのVRC7と呼ばれるチップは、FM音源を搭載することによって、
ファミコンソフトでありながらFM音源サウンドを鳴らすことが可能)

このように、ファミコンの音源は極めて「異質」であり、
であるが故に、当時を知る世代にとっては未だに唯一無二の存在として
記憶に残り続けているのであろう。

民明書房刊「サンタさんにファミコンお願いしたらマーク3買って来た」より