カンダタは、商品を買っても金を支払わずにトンズラするのが常だった。

ある時、カンダタが子分と道を歩いていると、行商人に出会った。
行商人はカンダタに声をかけていった。
「旦那、あっしがエジンベアで仕入れてきた、
この高価な指輪を一つ1000ドル買いませんか?」

するとカンダタは行商人と交渉をし、値切りに値切った上で、
一つ300ドルで指輪を買うという契約を結んだ。

ところがいざ金を払う段になると、
カンダタとその子分はいつものように商品を持ってトンズラした。

逃げながら子分がカンダタに聞いた。
「兄貴、どうせ金を払わずに指輪を持ち逃げするんなら、
どうしてあんなに値切ったんですか?」

カンダタは答えていった。
「ああ、行商人の奴は、はるばるエジンベアから来てくれたんだから
損させたくないと思ってな」