概説
ベルゼバブ、ベールゼブブとも表記される。新約聖書にもその名がみえる。
この名はヘブライ語で「ハエの王」(一説には「糞山の王」[1]、糞の王」[2])を意味する。

本来はバアル・ゼブル (????? ?????? [Ba‘al z??ul])、すなわち「気高き主」あるいは「高き館の主」という意味の名で呼ばれていた。
これはおそらく嵐と慈雨の神バアルの尊称の一つだったと思われる。 パルミュラの神殿遺跡でも高名なこの神は、冬に恵みの雨を降らせる豊穣の神であった。
一説によると、バアルの崇拝者は当時オリエント世界で広く行われていた、豊穣を祈る性的な儀式を行ったとも言われる。

しかし、イスラエル(カナン)の地に入植してきたヘブライ人たちは、こうしたペリシテ人の儀式を嫌ってバアル・ゼブルを邪教神とし、
やがてこの異教の最高神を語呂の似たバアル・ゼブブすなわち「ハエの王」と呼んで蔑んだという。
これが聖書に記されたために、この名で広く知られるようになった。