お前らも小中学校時代は先生や親に褒められる「いい子」じゃなかったか?
おれはそうだった。
授業は真面目に受け、宿題はきちんとやり、掃除もさぼらず、PTAで問題視されるようなテレビは見なかった。
手元にある漫画は毎月定期購読してる小学館の学年誌だけ。
同年代の子供達の間で人気があった少年漫画やアニメはまともに見た事すらない。
近所からも親からも先生からも「いい子」と言われ、大人の喜ぶ子供であり続けた。
そして親から遊んではいけないと言われた友達とは遊ばなかった。
反面、同級生とは会話が合わないこともあり、疎まれていただろうし、思春期の始まりだというのに女の子と接触など皆無だった。
むしろ遊んでる連中をちょっと蔑んで、悦にいっていたかもしれない。
しかし、何の疑問も抱かず、そうすることが幸せになることなのだと一片の疑いもなかった。
高校は地元では比較的頭のいい学校に行った。
しかしクラブ活動もせず(できず)、友達も少ない俺は次第に内向的傾向が一層強くなり、
優等生という地位も自然に失っていった。
なんとか一浪の末、東京の二流大学に進学できたものの、ろくに友達も出来ないまま無為な学生生活を過ごした。
結果、コミュニケーション力も行動力もない俺は就職に失敗。
地元に帰って、職を転々として未だフリーター生活。
地元周辺を歩いていると、小中時代の同級生に出くわすことがある。
もちろん挨拶などしない。向こうはこちらをロクに覚えてもいないだろう。
当時は不良のレッテルを貼られていたような奴らが、奥さんや子供を連れて幸せそうに買い物をしている。
立派な家庭人として、社会人として暮らしている。
それに比べて俺は何なんだろう。ろくに定職ももたず、結婚はおろか恋愛経験すらない。
かつて禁止されていたゲームやアニメが今の生きる支え。
かつて読んではダメと言われていた劣悪図書が部屋に溢れている。
俺は幸せになれるはずの優等生ではなかったのか?
親は先生はそうなるために俺を褒めてくれていたのではなかったのか?
誰が悪いのか?親か?学校か?社会か?それとも俺か?
両親はそんな俺に何も言わない。俺も何も言わない。
ただなんとも言えない閉塞感と劣等感と後悔だけが俺を支配している。