〈死んだ人間が生き返ることはないのだ〉

 ここで取り上げる本作の台詞は、まさに今年を表す言葉として、筆者は並々ならぬ感情を抱いている。『鬼滅の刃』の悪役である、鬼舞辻無惨の言葉だ。

 
ネットでは「頭無惨様」という言葉も
 もともと、そのキャラクター性から「小物界の大物」、「パワハラ上司」等、ろくでもないあだ名をネット民からつけられてきた無惨であったが、この言葉でさらに盛り上がったネット民により、このシーンを改変したコラージュが多数作られるなど、大きな反響を呼んだ。あの場でこの言葉を発する、まさに無惨を象徴するシーンだ。

 ネットで「頭無惨様」という言葉も生まれるくらい、ユニークな思考回路の持ち主の無惨であるが、まさにこのシーンはその最たるものと言っていい。別に炭治郎らを挑発する意図ではなく、純粋に本心を吐露したかに見える。絶対的強者であり、他者の意を介する必要のない無惨だからこその言葉とも言えるが、作中の過去描写から元からこうだった可能性も窺える。

炎上常習者・鬼舞辻無惨
 無惨打倒を目指す側の鬼殺隊は、隊士の多くが鬼によって肉親を殺される理不尽に遭い、それを許さないという「想い」によって千年間続いてきた組織だ。そういった想いの永続性を否定した無惨だったが、最期にはその想いの前に敗れ、想いの強さを歪んだ形で認めることになる。


https://news.yahoo.co.jp/articles/407fd89ce39d49dab99060333055b0ce6e130fe7