>>128
フリードリヒ・シラーのこの詩でした。
原題は「Der Taucher」=ダイバー。水に潜る人という意味。邦題は「潜水者(夫)」や「海に潜る若者」等があります。
内容は、よくある、わがままな王を巡る物語です。その点では太宰治の走れメロスの元になった「人質」とも似ています。

ある日王は、「誰かこの淵の底に潜るものはいないか?」と
金杯を深いカリュブディスの淵に投げ込みます。
そこに名乗り出た若者。彼は荒れ狂う海に飛び込み、
波の助けを借りながら見事金杯を拾い上げてきます。
若者は王に、人間は神々を試そうとしてはいけない、
神々が慈悲深く夜と恐怖で覆い隠して下さっていたものを決して見ようとなど望んではいけないと
前置きして、海底の恐ろしい情景を王に説明します。
ところが王は凝りません。「ではこの指環はどうだ?これを拾ってきたら指環も授けよう。」とむちゃぶり。
同行していた美しい姫も「こんな危険な遊びはおやめください」と諭すものの、王は聞きません。
「そうだ、もう一度この杯を投げ込もう。そして今回も成功すれば、この姫もおまえのものだ」と言い放ちます。
姫の魅力に捉われた若者は意を決してもう一度潜りますが・・・
今回は波も彼の味方をすることはなく、彼は決して戻ってきませんでした。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S5303.htm