兵隊さん昔話/陸軍軍医・薬剤官へのハローワーク
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・大学医学部卒と医学専門学校卒

もう一つは,中学を卒業して,医学専門学校の予科に行き,そのまま本科を卒業するものである。
予科二年と本科三年で,計五年で医師になれる。

こちらは,私立医専コースで,開業医養成コースであった。(高等医専というものもあったが、こちらは卒業まで六年かかる。)
卒業生は,出身校の名称を付与した医学士の称号が与えられた。たとえば,東京医専の卒業ならば,東京医学専門学校医学士と,称する。

大学卒の医師から見れば,専門学校卒の医師などは,同じ医師の仲間には入らない。
「医学専門学校? ああ,床屋の学校に毛の生えた程度の,そんな名前の,町医者養成所があったようだなあ。」と,わたしに語ってくれた老教授を知っている。

ややっこしいのは,戦時中,軍医の不足を補う為に,各地の帝国大学医学部や医科大学に,「臨時医専」と称する医学専門学校が乱立したことである。

したがって,たとえば「わたしは,慈恵会医科大学の出身で・・」と自称する75歳以上の医師の相当数は,実は慈恵会医科大学ではなくて,慈恵会医科大学付属臨時医専の卒業生である。これは,日本医大でも同じこと。

もう、老齢化したので,そんなことはあるまいが,一時期,仙台の開業医で,「東北帝大卒」と称する人の九割までが,東北帝大医学部付属臨時医学専門学校の卒業であったという。

そもそも,帝大卒は開業医などには成らないのだ。