人間交差点
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久しぶりに読んでみた。
重い・・・
愛だの、人間がどうのこうの、言い回しがクサい。
今時そういうのって流行らない。
だから、それ程前の漫画じゃないのにスレすら無い。
でもいいじゃないか・・・たまにはそういうの読んでみても・・・ 矢島正雄は私の心の師だった。。。
私が中学生だった時、父親が読んでたビックコミックオリジナルの
「人間交差点」に強くひかれ矢島正雄の元に弟子入り志願に行った。
すると矢島は「せめて学校を終えてからいらっしゃい」と言った。
高校に入ると私は愚れて、それでも「人間交差点」は読んでた。
しかしその頃面白いと思ったことはない。
すべてがあまく感じ、ズルいと思い、浮ついてると苛立った。
私が大学に入ったとき、書いた物を持って矢島を訪ねた。
矢島は「つまらん」たった一言いうと、目もくれなかった。
その頃「人間交差点」は、面白いというより凄さを感じた。
私が変わってるのか、「人間交差点」が変わってるのか、
いずれにしても「人間交差点」に更にのめり込むようになった。
私は夢中になって書いた物を何十回も持って行ったが、
「つまらん」と言うだけだった。
「どこが?」と訊いたら「総て」と答えた。
そして「面白い所はどこもありません。何よりも心根の卑しさが
感じられて吐き気がする。これが正直な感想です」と言った。
私は近くの屋台で矢島のことを悪態をついてると、スッと横に座る者がいた。矢島だった。
矢島は「あんた、それ誰の為に書いたんです」と訊くので
「自分の為に書いたんだよ。書かずに居られなかったんだ」
「自分の為に書いたものを人様に読ませるなんて失礼じゃありません?
自分の悲しさ淋しさ苦しさを分かって下さいと書いてる、
そんな物人様に見せるくらい傲慢なことはありません」
「皆苦しいんです。生きるって悲しいんですよ。あなただけじゃないんです。
自分は一つ悲しさを乗り越えられた。これなら笑って人に話してやれる」
矢島正雄六十歳、今でも名漫画原作者として、あと十年・・・
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