「冬の西瓜」だったかの話って、これでよかったっけ?

隠遁していた伝説の詩人が死ぬとき娘にスイカを希望する。
季節外れの高価な果物を、父のまわりをうろちょろしていた
出版社の人間に買ってもらう。身寄りがなくなった女性は
その出版社の人間に引き取られ、文芸評論家として出世する。

自身も詩人の晩年を本にして賞をとったその編集者が死ぬとき
自分が生み出した価値はなにもなかった嘆きのようなものを言い
何かを生み出そうと苦悩し続けた父の最後の「わがまま」を思い出す。