松下電器産業(現パナソニック)の子会社で働いていた吉岡力さん(35)が「違法な偽装請負状態にある」との内部告発後に雇い止めされたのは不当として、
雇用継続などを求めた訴訟の上告審判決で最高裁第2小法廷は18日、請求を認めた二審大阪高裁判決を破棄、訴えを退けた。原告の逆転敗訴が確定した。
 中川了滋裁判長は判決理由で「松下側は吉岡さんの採用や給与額の決定に関与しておらず、暗黙の雇用契約が成立していたとは評価できない」と指摘した。  
判決は、派遣先企業の指示で働いているのに業務請負を装う労働形態が、違法な偽装請負に当たることを最高裁として初めて認定。
吉岡さんも同じ状態と見なしたが、松下側との直接雇用関係を認めず、雇い止めは適法との結論を導いた。  
一方で「内部告発への報復から、必要性の乏しい作業をさせていた」などとする高裁判断を追認し、90万円の慰謝料支払いを認めた。  
大阪地裁判決は、雇用関係継続を認めなかったが、差別的待遇があったとして慰謝料600万円の請求に対し45万円の支払いを命令。
高裁判決は「脱法的契約で違法性が強い」とした上で、松下側従業員の直接指示を受けており黙示の労働契約があったと認定。慰謝料を90万円に増額した。