クライム家にとって殺しとは許しであり、処刑とは死をもって罪を許す事である

ギルド:シャーローン 咎罪の収穫1

シラハ「本当にびっくりしたよ」
ディアナ「植物型の魔物ならいくらでも居ますけど
     その魔物の種があるなんて初めて聞きました」
ギュスタヴ「…まあ、植物なんだから種があるのは当たり前といえば当たり前だけど」
エルランド「あーいうのはやめて欲しいもんだ、立て直す為の回復が面倒くせぇ…」
ニュクス「んぅー、倒せたけど疲れたわ、今日の探索はおしまい。 明日にしましょ」
エルランド「…だな、俺は寝る。 だりぃからさっさと寝るぞ」

 …夜…

ニュクス「…ギュスタヴ起きてる?」
ギュスタヴ「…ん、こんな夜遅くにどうしたんだい?」
ニュクス「あの依頼、おかしい所があるわ」
ギュスタヴ「ふぅん、どの辺りだい?」
ニュクス「樹海に落ちてた何の種かもわからない種を普通、買う?
     確かに珍しい種なのかもしれないわ、でも…
     そもそも育たない植物の種を先代が残す意味…ってあるのかしら?」
ギュスタヴ「ああ、つまりその花屋そのものが怪しい…か」

 『…そう、処刑の時間だよ』

ニュクス「さて、ここが件の花屋の家だね」
ギュスタヴ「どうする? 正面から行く?それとも裏口から?」
ニュクス「二階の屋根から行くわ、何かトラップを仕掛けてあっても不思議じゃないし」

 ガシャン、とガラスを蹴り壊す音と共に屋根から二階に侵入した二人

ニュクス「…おかしいね、寝室に誰もいないわよ」
??「おやおやぁ? こんな夜分遅くに…泥棒かなぁ」
ギュスタヴ「…君が件の花屋だね。 生憎僕達は物取りじゃあないよ」
ニュクス「私は…、私達は"収穫者"だよ。 あんたの罪を許しに来たわ」
花屋「罪を、許す…だって? ぼくが一体、何をしたっていうのさ」
ニュクス「花の種を植える場所を探すっていう依頼の件だけど…
     そもそもおかしいのよねぇ…、冒険者から貰ったって言ったけど
     魔物の種なんだから、樹海の他の階層でも育つ。 それならわかるわ
     …なんでピンポイントで三層でしか育たない魔物の種を持ってるのよ
     しかも、この種の件を依頼した時期がこれがまたおかしいんだよね
     三層まで進んだ冒険者が増え始めた今になって依頼したってところが…ね」
ギュスタヴ「そう…、お前は第三階層でしか育たない種だって知っていて依頼したんだ
      お前が一体何者なのかは知らないけれど…
      収穫者の言葉における"許す"の意味…。 当然、分かってるよね?」
花屋「…! それで、このぼくがむざむざ殺される…とでも思うのかい?」

 花屋がにやりと笑みを浮かべ、植物の種らしきものを広範囲に撒くとそこに無数の植物型の魔物が生え始めた

ギュスタヴ「うわっ! これは…」
花屋「魔物の種にはこういう使い方もあるんだ! 予め床に魔物が好む液体肥料を染み込ませておいたのさ!」
ギュスタヴ「室内で炎はまずいか…ニュクス! 繊弱お願い!」
ニュクス「言われなくても! …よし、瘴気の調子がいいわ」
ギュスタヴ「まずは邪魔な草から、刈り取らせてもらうよ!」
花屋「植物達の攻撃性が薄れた…か。 でもね、こういう種もあるんだよ!」
ギュスタヴ「しまっ…、鎌が絡め取られてっ…!」
ニュクス「うわぁ!? これじゃうまく動けない!」

 花屋が撒いていた別の種が芽吹き、無数の蔦が二人を絡め取る