機体のあちこちから火を噴きながら、アークザインは機能を停止した。
「さすが、やるじゃない!私たち、コイツには物凄く苦労させられたのに」
「まあ、何度もやりあってるからな。いい加減慣れてきたんだよ」
「それでも凄いわよ。救世主の肩書きは伊達じゃないわね。カッコよかったわ」
「いやあ、あはは……はぁっ!?」
「? どうしたの?」
「いや、なんか今フォイエのような凄い視線を感じた気がするんだけど…。気のせいかな?」
「私は何も感じないけど…?ここは人間なんていない区画だし、いたら声かけてくると思うけど」
「それもそうか。やっぱり気のせいだな」
「そうそう。だからこーしても大丈夫っ」
アナは不意に俺の腕をとると、ぎゅっと自分の腕に絡めてきた。
俺の左腕に、柔らかな弾力が押し付けられる。そう、サリサでは絶対に有り得ない豊満な……って、
なんか今度はゾンデのような視線が背中に突き刺さっている気がする!
「ア、アナ!ここはいつエネミーが現れるかわかんないんだから、くっついてると危ないよ!」
「あら、その時は貴方が守ってくれるじゃない♪」
「いや、マズイ。なんか色々マズイ。俺の本能が危険を告げているんだ」
「そう?じゃあ仕方ないわね」と、アナは絡めていた腕をそっと離した。
俺はホッと肩を撫で下ろしたが、ちょっと名残惜しくもあった。
(いやあ、柔らかかったなあ…)
思わず頬が緩む…と同時に、どこからかLV15バータのような視線が飛んでくる。
俺はアナを急かすと、逃げるように次の区画へと走った。

                                               以上