「ん?フ口ースガノレはハイラガードに戻って来てから、おかみと再会したのかって?
さぁな、そこまでは俺の知るところじゃねぇよ…今となってはな…」

「そもそも俺だって、あのフ口ースガノレとこのフ口ースガノレが同じだって知ったのは割と最近なんだ。
まぁ、まさかあのボウズが坊さん…いや、聖騎士になっているとは思いもしねぇよ。
そして、あんなアッサリ死んじまうとはな…」

「それはともかく、俺が云いたいのは、お前らは死ぬなよってことだよ。
おかみは、もう二度も息子をなくしてるんだ。
お前らとは、商売主とその客ってだけかもしれねぇが、“冒険者のおっかさん”でもあるんだろ?」

「…そりゃー、俺もお前らには無事でいて欲しいと思ってるさ。
お前らのギルドが半年以内に壊滅しない方に、俺の秘蔵の蒸留酒ちゃんが賭かってることとは
全く別の話でな、モチロン。はははっ!まぁ、俺が勝ったらレモネードでもおごってやるからな!」


「ああ、最後に云っておくか。
お前らはこの話を、信じてもいいし、酒場の与太の類いだと思っても構わないぜ。じゃあな!」



「フ口ースガノレ…バカな子だよ…」
「お母さん…お客さ…。!…どうしたの?泣いてるの?」
「…あ、いや何でもないよ、ちょっと目にゴミが入っただけさ!
お客さんかい?…さあさ、どうぞいらっしゃい!
アンタたちも冒険者かい?よく来てくれたね!」