そんな事より皆さん、ちょっと聞いてくれよ。ホケーイとあんま関係ないけどさ。
このあいだ、殺人事件の容疑者にされたんです。容疑者。
そして法廷に行ったら、なんか人がめちゃくちゃいっぱいで汗臭いんです。
で、よく見てたらなんか証言を強要されて、あなたは実は日本語が話せる、とか言ってるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、俺が日本語喋れる如きで普段ラミロアしか見てないやつらがにこっち見てんじゃねーよ、ボケが。
日本語だよ、日本語。
なんか裁判官も驚いているし。法廷全体でびっくりか。おめでてーな。
よーしこれは非常に重要なことですなー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、日本語喋ってやるから少し落ち着けよと。
法廷ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
Uの字テーブルの向かいに座った法廷官といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
嘘を突き通すかバレるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと日本語の件が落ち着いたと思ったら、隣の弁護士(確かオドロキ)が、あなたはマユの密輸をしていた、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、余罪追求なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、マユの密輸をしていた、だ。
お前は本当にマユの密輸に興味があるのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、証人の細かい素性を知りたいだけちゃうんかと。
密輸通の俺から言わせてもらえば今、密輸通の間での最新流行はやっぱり、
ギターケースにしのばせる、これだね。
外国から来た人に木製のギターケースをプレゼント。これが通の運搬の仕方。
ギターケースってのはマユが多めに入れられる。そん代わり出国検査が甘め。これ。
で、それに密輸後に起動する発火装置。これ最強。
しかしこれをやると次から職員にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前ら日本人は、ラミロアのポストカードでも見てなさいってこった。