1月下旬、平日の夕方で込み合う栃木県にあるJR宇都宮駅。改札口で駅員とやりとりする20代の女性に鉄警隊員が「どうされました」と声をかけた。
「隣の岡本駅から乗ったんですが、切符を無くしてしまって……」。隊員に声をかけられ動揺する女性。「ここだと混雑しますから、鉄警隊の事務所で一緒に探しましょう。無くした
状況も聞けますし」との隊員の言葉に、女性は突然興奮した口調になり「なんでそんなとこ
行かないといけないの」。
女性の態度でベテラン隊員は「不正乗車」を確信。事務所内でも「なんで私が疑われないといけないの」とまくし立てるが、乗ったと主張する駅での乗車時の状況をきちんと説明できない。
隊員は冷静に「あなたの言ってることはつじつまが合わないですよ」と語りかける。2時間後、女性は「すみませんでした」とうなだれ、靴のつま先に隠していた切符を取り出した。
それは福島県・郡山駅からの初乗り運賃の子供用切符で最低料金で買える切符だった。