3 世界への影響

 3.1 日本

 この合意を受け、日本では急速な円高が進行し、
円高不況の発生が懸念されたために低金利政策が採用・継続された。
この低金利政策が、不動産や株式への投機を加速させバブル景気加熱をもたらした。

 また、円高により、日本経済の規模は相対的に急拡大。
「半額セール」とまで言われた米国資産の買い漁りや、
海外旅行のブーム、賃金の安い国への工場移転などが相次いだ。

 その後、進みすぎたドル安に歯止めをかけるべく、
為替レートの安定化を図るために
1987年再び各国が協調介入することをうたったルーブル合意がなされた。

 プラザ合意についてはバブル崩壊後にさまざまな議論がなされたが、
多くの見解は「失われた10年」といわれる長期の不況に陥れた直接の原因として一致している。

 そもそも、輸出産業に依存度の高い日本が
為替レートを恣意的に調節することには大きなリスクを伴うものである。
協調介入によって人為的に円高に導いた結果、
輸出産業は競争力を相対的に失うことに繋がる。
かいつまんで言えば日本にとって不利になるこの合意がなされた背景には、
それ以前からあった日米貿易摩擦があるだろう。