14日に都内ホテルで行われたプロ野球実行委員会の席上、
東京地検特捜部長などを歴任した、熊崎勝彦コミッショナー顧問(コンプライアンス担当)が、
相撲界の暴力団絡みの不祥事に関し、12球団代表に警鐘を鳴らした。
「対岸の火事と思わず、いっそう気を引き締めてやってほしい」と。

プロ野球界では03年12月に「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を発足させている。
悪質な応援団等を通して球界に接近する暴力団を排除するため12球団、球場、警察庁、警視庁、
日弁連の代表が集まり、「暴力団等排除宣言」を採択。暴力団絡みの悪質な応援団を
球場に入れないようにしている。

さらには毎年、キャンプ終了後の3月初めに新人選手研修会を開き、その一貫として
警察関係者から暴力団対策を語ってもらっている。が、親方の維持席の暴力団への横流し事件、
大関・琴光喜の野球賭博事件など今回の相撲界の暴力団絡みの不祥事は、熊崎顧問が緊急で
注意を促したように、決して対岸の火事ではない。

1969年から1971年にかけてプロ野球界を揺るがした八百長事件、いわゆる黒い霧事件は、
消し去ることのできないものだ。永久追放処分を受けた元西鉄のエースがようやく復権したのは
数年前のことだ。それなのに、八百長疑惑の選手は後を絶たない。

球界の活躍選手など、チーム内から疑惑をもたれた選手は少なくないのが現実だ。
「あんないいピッチングをしていて、いきなり大量点を奪われるほど打たれるのはおかしい。
絶対にやっている」と怒った監督が、そのエースを抑えに起用したりした。
「いくらなんでも抑えなら、見え見えのことはやれないだろう」と。


そのものズバリの八百長疑惑までいかなくても、暴力団関係者との黒い交友関係疑惑を
持たれている球界OBやユニホーム組もいる。監督候補に何度か名前が挙がりながら、
いまだに実現していない球界OBに対して球界関係者はこう言い放つ。
「誰が見ても堅気に見えない、その筋の人と平気でゴルフに行くような神経では
監督にはなれっこないよ。どこの球団だって最後は尻込みするだろう」と。

現在ユニホームを着ている、ある球団のコーチは数年前のキャンプにその筋の人と
一目でわかる人物を連れてきて一騒動。「お前はいったい何を考えているんだ!」と、
当時の監督から一喝された事件もある。そんな危ない人物を今でもコーチにしている
球団の不見識は非難されてもしようがないだろう。

さらには、ギャンブル好きが高じて、借金まみれになり、球界から追われ、
暴力団に身を転じた例も少なくない。野球界と暴力団との関係は、黒い霧事件以降、
表面的には目立たなくなっているが、水面下では完全に切れているわけではない。
だからこそ「プロ野球暴力団等排除対策委員会」が必要だとも言える。

12球団代表が熊崎コミッショナー顧問の警鐘を右から左へ聞き流したら大変なことになる。
野球界にとって、暴力団絡みの不祥事で揺れる相撲界は、対岸の火事どころではない。
すぐに飛び火しかねない恐れすらあるのだから。

http://npn.co.jp/article/detail/43668569/