6日の日ハム戦に勝ったロッテは連敗を「3」で止めたが、相変わらず最下位で苦しんでいる。
先発陣の弱体など原因は多々あるが、マスコミを賑わせているお家騒動も無関係ではあるまい。

ロッテはボクが日本一になった74年以降、優勝から遠ざかっていた。05年にバレンタイン監督のもと
31年ぶりの頂点に返り咲いた。集客増やファンサービスの向上などにも貢献してきた功績は誰もが
認める一方、同監督は現場以外のことにもやたらと首を突っ込み球団を混乱させてきた。

外国人補強では主導権を握り、実績や日本球界への適応能力よりも、自らの人脈を
重視してきたといわれている。メッツ監督時代の選手だったベニーを04年に獲得すると、
成績が下がり続けている今も起用し続け、若手のチャンスをつぶしている。

06年のドラフトでは、事前に打ち合わせのない大嶺(祐太=八重山商工)を強行指名してスカウト陣を
困惑させた。昨年は韓国の大砲・金東柱を狙って、球団を通さず身分照会を行うという暴走もあった。

編成介入ばかりではない。バレンタイン監督は自分の息のかかる外国人を球団職員として複数人採用。
意見が合わず退社に追い込まれた者もいると聞いた。

04年、ロッテは95年限りでクビにしたバレンタインに再びチームの命運を託した。
4年20億円ともいわれる破格な年俸を約束。さらに、バレンタインが米国でやっている
ビジネスの補助や常識外の付帯条件もついているとの報道もあった。

30億円ともいわれる巨額赤字を抱える球団が、こんなバカげた契約を結び、監督に球団の私物化を
許してきたのはなぜか。オーナー代行がバレンタインに監督就任を要請した際、クビを縦に振らせるため
「全権監督」を約束したからだろう。

ボクが現役時代、日本一になったときの金田(正一=74年ロッテ)、広岡(達朗=82、83年西武)両監督も、
個性も我も強い人だった。西武の改革に燃えていた広岡さんは選手の管理体制は強化したが、現場とフロントは
それぞれ専門職であることを熟知しており、発言力が増した後もフロント介入するなどの越権行為はなかった。

このゴタゴタ騒ぎはシーズンが終わるまで続くだろうが、気の毒なのはまっとうなファンと選手たちだ。
成績に関係なくクビが決まっている監督と、彼の独断専行に辟易しているフロントが
角突き合わせていれば、チームの士気は上がらない。監督に「強大な権力を与えてはならない」という
教訓を得た球団が支払う代償は大きい。(山崎裕之)

ロッテの内紛は起こるべくして起こった
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