ニフティ売買交渉、打ち切り

 富士通とソニーが、富士通の全額出資子会社でインターネット接続業(プロバイダー)最大手「ニフティ」の売買交渉を事実上、打ち切ったことが10日、分かった。富士通側がニフティの資産価値は大きく、売却を急ぐ必要はないと判断、売却を当面見送る方針を決めたためだ。
 両社は昨年以来、ネット関連事業での包括提携を目指して検討を進めており、ニフティ以外の交渉は続ける。交渉の焦点は今後、デジタル音響映像機器向け電子部品の共同開発などに移ることになりそうだ。

 ニフティの昨年末の会員数は約510万人でシェアは約17%。2001年3月期は売上高604億円、純利益246億円。

 同社の売却は、高速インターネットのブロードバンドを通じた音響、映像の配信ビジネスを今後の収益の柱とするソニーと、システム開発に経営資源を注ぐ富士通が、事業領域が重ならず補完し合えるとして浮上した。

 しかし02年3月期に3800億円の最終赤字を計上する富士通は、黒字企業の売却に踏み切れなかったとみられる。