SBIが過去最大1500億円の起債、市場環境改善でコスト抑制
借入金や社債などの償還に充当
ブルームバーグ
2023/05/31 20:22


(写真:ブルームバーグ)
SBIホールディングスが31日、年限3年と5年の社債の発行条件を決めた。良好な需給環境を追い風に発行コストを抑えつつ、発行額は同社として過去最大の総額1500億円まで増やした。

3年債を1050億円、5年債を450億円、それぞれ発行する。2021年12月に新生銀行(現SBI新生銀行)の株式取得に充てる目的で発行した総額1200億円を上回り、同社による1度の起債額として過去最大を更新した。発行利率は3年債が0.95%、5年債が1.15%。

ブルームバーグのデータによると、同社が国内で円建て債を公募するのは同じ年限構成で起債した昨年11月以来。当時の発行総額は530億円だった。社債は一般に発行規模が大きければ大きいほど発行利率は高くなる傾向があるが、日本銀行による目先の金融政策修正観測が後退している足元は社債への需要が総じて強く、利率は両年限とも前回債(3年債1.10%、5年債1.20%)を下回った。

SBIの財務担当者は当初総額500億円程度の発行を想定していたとした上で、マーケティングを通じて3年債を中心に投資家の需要が確認され、前回債からの利率低下も狙えたため増額を決めたと話した。主幹事によると、最終需要は3年債が1200億円程度、5年債が500億円程度だった。今回債で調達する資金は借入金や短期を含む社債などの償還に充てる予定だ。

SBIは5月、SBI新生銀に対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。6月23日までに政府が保有する2割強を除いた残り全ての株式取得を目指す。財務担当者は取得にかかる総額1500億円強の資金はブリッジローンで賄う予定だとし、資金長期化については今後、市場の状況を踏まえて社債発行などの手段を検討していくと述べた。

主幹事は大和証券と野村証券、SBI証券、みずほ証券、SMBC日興証券、岡三証券。