著者が本の初めの頃に書いている「金の無くなる心配のない人たちに向けてこの本を書いている」が全て。この時点で読む本を間違えたと思ったが、後半に「経済学」や「哲学」があるかと期待して最後まで読んだ。結論から言えば数ある個人の考え方の一つで、いわゆるエッセイだった。「何かをやることこそが正しい生き方」と何度も強調しているので、鬱気味の人や時間の残されていない年寄りが読むと気が滅入ると思う(26歳から35歳までが最適らしい。確かに35歳ぐらいまでが最高だった)。
一般的ではないレアケースの人たちの立場として語り続けている。例えば「年金受給者は老後も安定した収入が保証されている」とか日本でも一部の元公務員ぐらいしか当てはまらないことを主張するなど、私もアメリカに住んでいたことがあるが、現実離れしていて一体どこのパラダイス国家の話をしているのかと思った次第。特に医療費に備えて金を蓄えるくだりは「エイリアンの襲撃に備えるようなもの」と確率ゼロの例え話で、日本とは比べようもない貧弱な保健制度と高額なアメリカの医療費の備えすら否定する(つまり彼の父親のガン末期治療では1日5万ドルかかったそうで、そんな高額な医療費は一般人は払えないから諦めろとの悲しいコメント