BNFに衝撃を受けて株をはじめたけどうなくいってなかった頃の話。

娘は幼稚園でイチバン足が遅かった。
運動機能の発達がちょっと非定型的だったのだ。
運動会の競走の時、僕は可哀想で苦しくなるほどだった。
ドン!で娘が一生懸命ヨチヨチ走り始めた途端もうみんなゴールしてる。
だけどひとり、娘の仲良しの男の子がスタートでジッとしてる!
合図が聞こえなかった?
おやおや、と会場の親達がその子を見てザワつきだす。
でも彼は走り出そうとする姿勢のままジッとしている。
そして突如全力疾走し始めた!

ゴールした時に会場は大笑いだ。
でも僕は、娘がヨチヨチとゴールしたのを彼が確認してからスタートしたのを見ていた。
自分を笑い者にして娘を救ってくれたのだ。

彼はその後すぐ引っ越してしまった。
どんなふうに育ってるか、自分の行為を覚えているかもわからない。
だけど僕は一生覚えている。
それは僕自身の人生が一番苦しい時期に無償で差し出された、この上ない勇気と優しさだった。人はあれほど気高く振る舞える。僕のヒーローはしっさん。