長短金利逆転、不安を増幅
2019/03/23 20:17
米債券市場で期間10年の金利が急低下し、3カ月物を下回る「長短逆転」現象が起こった。不況の前兆とされる動きで、景気への不安感を増幅している。
急激に「ハト派」姿勢を強めた米連邦準備理事会(FRB)を巡って、市場では様々な思惑が交錯しており、いびつな金利形成が目立つようになっている。
米長期金利の指標である米10年物国債利回りは22日、一時2.41%と約1年3カ月ぶりの水準に低下(債券価格は上昇)し、2.46%程度で推移していた米財務省証券(TB)3カ月物の金利を下回った。2007年8月以来、11年半ぶりのことだ。
長短金利の逆転は異例の現象だ。通常、貸し借りの期間が長い金利の方が高くなる。将来の成長に伴う金利上昇が想定されるほか、貸し倒れリスクも高まるためだ。
だが、市場で景気不安が特に強くなると、将来の利下げを織り込む形で、長期金利が大きく低下し、短期金利を下回ることがある。
これが長短逆転で、期間ごとの金利をつないで描く「イールドカーブ」が通常とは逆に「右肩下がり」の形状となるため、「逆イールド」とも呼ばれる。
逆イールドは「不況の予兆」とされる。調査会社ビアンコ・リサーチが過去50年の米国の状況を調べたところ、10年と3カ月の金利の逆転状態が10日続いた場合、平均で311日後に景気後退が始まる結果になった。
FRBの急激な姿勢変化が市場の不安を招いた面が大きい。