0001名無しさん@お金いっぱい。
2018/04/18(水) 09:35:30.26ID:UGEvG+6s0薔薇いろの蕾をもちあげている小高い一双の丘のあいだには、よく日に灼けた、しかも肌の繊細さと滑らかさと一脈の冷たさを失わない、早春の気を漂わせた谷間があった。
四肢のととのった発育と歩を合わせて、乳房の育ちも決して遅れをとってはいなかった。
が、まだいくばくの固みを帯びたそのふくらみは、今や覚めぎわの眠りにいて、ほんの羽毛の一触、ほんの微風の愛撫で、目をさましそうに見えるのである。
三島由紀夫「潮騒」