延命中止の先進的な取り組みを行っている、長崎腎病院です。重い腎臓病の入院患者70人が人工透析を受けています。平均年齢はおよそ80歳。高齢化が進んでいます。
人工透析は、血液の老廃物などを取り除き、再び体内に戻す治療で患者の命を支えています。この病院が全国に先駆けて行っているのは、「透析中止」という選択を家族に示す取り組みです。


患者や家族に提出してもらう事前指示書です。
高齢の透析患者は心不全やがん、認知症など深刻な病気になることも多くみずからが判断できるうちに治療継続の意思を確認しておきます。気持ちの変化で何度でも書き直すことができます。

長崎腎病院 船越哲理事長
「やはり患者さんとご家族も含めた気持ちの機微ということだと思う。どっちも選べる、どっちを選んでも間違いではないということだと思います。」

この病院で透析中止を選択し、家族をみとった宮田純子さんです。祖父の鐘成さん。81歳から7年間透析を続けましたが、次第に治療の負担を訴えるようになりました。
終わりのない治療を続けるよりも自然な形で最期を迎えてほしい。家族は本人と話し合い、透析の中止を決断しました。治療をやめて2週間後、鐘成さんは家族に囲まれながら静かに息を引き取りました。