────
課長が何か言うと「さすが、課長は良いこと言うなあ」と思ったかも知れませんが、
社長の視点に立てば「彼はもう課長になったのだから、
さらに上のレベルのことも考えて欲しいのだが、
どうしたら彼の力を伸ばせるだろうか」という気持ちになります。
もちろん実際には、そういう思考を持ちつつも、役割としての平社員をこなすわけです。
このときのあなたは、肩書き的には平社員かも知れませんが、すでに中身は社長です。
当然「係長になる」ということなどに関心なくなります。
そもそも、社長にとって肩書きとは、
社員のモチベーションを向上させるコスト0円のツールであり、
これをどう活用するかも経営手腕のひとつと考えているでしょう。
────「公式」2009.06.30

新田は会社員時代、課長に対して悪感情を抱き、
係長になれないことに不満を持っていたことがわかる。
それらを解消するため、社長になったと想像して、
心の中で上位に立っていた。
これは『阿Q正伝』の「精神勝利法」と同じである。

結局新田は31歳で早々に退職し、そのまま無職になってしまった
(まあ一応フリーランスということでもいいが)。

どうやら精神勝利法は現実の成功には結び付かないようである。
むしろ自分より(心の中で)下位の人間に指示されることに
がまんならなくなったのではないだろうか。