ソフトバンクグループが海外での資金調達を増やしている。外貨建て社債の比率は
3月末で4割と1年で2倍になった。海外で高利回りを望む新たな投資家をひき付
けている裏側では、国内で残高を増やすことに及び腰な投資家がでてきている。
3月末時点の連結有利子負債は約16兆円で、半分を社債が占める。
単体でみても社債残高は3月末で5兆4100億円と3年間で8割増えた外貨建て
債券の3月末の残高は2兆円を超えて、3年間で5倍まで膨らんだ。
一方、円建ての残高は同期間で3割増にとどまる。
今月、国内で発行する普通社債4500億円のうち、機関投資家向けは400億円と、
1年前の発行に比べ100億円減った。国内投資家が及び腰になるのは、ソフトバンク債の規模拡大だ。
足元での発行残高は国内社債全体の1割弱と、電力会社などと並ぶ。
投資家が残高を増やしにくくなっていることに加え、「ソフトバンクの経営や財務
の先行きを慎重にみて見送る投資家が増えている」
今月国内で出す6年債の利率は年1.57%程度と17年に米国で出した7年債(2.08%=円換算ベース)より低くなる。
市場は利払い負担増だけでなく、ソフトバンク債の信用力を左右する3つの要因にも着目する。
1つはソフトバンクの信用力を支える保有株の含み益。アリババ株は年初から2割上昇し
ているが、ヤフー株は2割下落している。
携帯子会社の上場準備が2つ目。ソフトバンク債には携帯子会社の保証がついているが、
独立性を保つために順次外す方針。子会社保証なしの信用力を市場関係者は計りかねてい
る。最後が米携帯子会社の再編。スプリントが連結対象から外れれば有利子負債で約4兆円、
利払い費で年約3000億円の圧縮につながり、信用力が高まる。
信用力の変化は、調達能力に直結する。さらに投資を加速するなかで、
財務面でのリスク管理手法にも注目が集まる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31668050S8A610C1920M00/