あの人はいま 
元広島カープ 堂林翔太さん(30歳)

2020年、東京五輪。 それを、テレビで見つめる男がいた。18歳で将来を嘱望され広島カープへ入団した、堂林さんは今…。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する堂林は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。日本シリーズで、俺がチェンバレンと交代して活躍する夢を」カープを退団後、ベイスターズに活躍の場を求めた。
その後、故郷のドラゴンズに移籍するも、故障がちになり若手や新加入選手の台頭に押され目立った活躍はできず26歳の若さで引退を決意。
今は味噌カツ料理屋を営む傍ら、地元の少年野球のコーチを勤めている。暖簾の屋号の文字は元カープ監督、野村謙二郎さんの手によるものだ。
「いらっしゃい」。名古屋駅東口から歩いて約30分。
「味噌カツ屋 DOUBAYASHI」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを頭に巻いた堂林さんと妻、絵理奈さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『DOUBAYASHI』という文字は野村さんに右手で書いていただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「味噌カツ好きは飛行機に乗って本場・名古屋まで食べ歩きに出かける時代でしょ。ボクが修業した名古屋の老舗『味噌カツのなかにし』の丼ものは白味噌がベースなのが特徴だから醤油
ベースが味噌カツ丼だと信じ込んでる関東人にはモノ足りないようなんです。それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
かつての同世代で現ヤンキース所属の原口や、レッドソックス所属の宇佐美について尋ねると…「あいつら俺より足遅かったんですけどね(笑) 」と、おどけ
「監督に気に入られるのも才能だと思いました」
「怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど」「今はもう現役に未練はありません。今度は教え子でバロンドールを狙いますよ(笑)」
(写真)味噌カツ丼を手に持つ堂林さん