日本は「各校が独自に競争式試験を行う」という日本以外には見られない特殊な制度のせいで、日本独特の受験数学が誕生した。
日本以外の国では学力試験は米国のSATのような共通試験だけである。日本のように競争式試験を行う場合、受験者の数と質のどちらか(あるいは両方)が低下しないかぎり、問題が難化していく法則がある。
特に算数・数学は人為的に難しい問題をいくらでも作ることができるので、日本では入試の算数・数学が教科書レベルよりはるかに難しく特別の準備が必要という世界でも類を見ない状況になったのだ。これの弊害は極めて大きい。
なぜならば、受験競争の低年齢化を招いているからだ。大学入試で最も中高一貫教育が有利になるのは数学である。だから中高一貫進学校に入るために9歳から塾通いするという異常な状況になっている。