会社の後輩の一人なんだが入社3年目辺りまではミスしてばかりでトラブルメーカーとして完全に定着していた。
それでも経験を積んで何とか使えるぐらいにはなってきたとは思いつつも
これまでのイメージが悪すぎるせいで仕事を任せるのがどうにも不安な
信用できない奴と見ているのが俺と同僚達の正直な所だった。

話は変わるけど職場ではある資格が仕事の幅を広げると取得を推奨されていた。
といっても必須ではないし手当てもなく合格時に小遣い程度の報奨金が出るだけ。
同僚の取得率も1~2割程度だし俺もプライベートの時間に勉強するのも面倒なので
いつかは取らないとと思いつつも先延ばしにしてしまっていた。

話の流れで展開が予想できるだろうけど
ある日の仕事始めの朝礼で上司から件の後輩がその資格を取ったと告げられた。
俺は「え…え?俺はまだ取ってないのにアイツが先に?マジかよ…」と動揺。
同僚達も似たような心境だったのだろう。明らかに変な空気が流れていた。
その日の内に俺は次回試験の受験申し込みをしてテキストを買い勉強を開始。
後輩が資格持ちの先輩から仕事を教わっているのを見た時の屈辱的な敗北感は忘れられない。

今では取った資格を活かしてバリバリ働いているし更に難関の資格取得の為勉強している。
しかしこの原動力となっているのは仕事が出来ない後輩の後追いになったのが情けないという
根本から解消することは永遠に出来ないコンプレックスなわけでこのまま一生苦しみ続けることになるかもという恐怖がある。

そして年2回ある試験で1人取るかどうかのペースで増えていた資格取得者だったけど
後輩が取得後の次の試験で俺含む5人が一気に取得という異常事態が発生。
全員がその後輩が取得したことが影響したと言っていて慌ててやる気出すなんてダサいな俺達と思いつつ
遥か後ろにいるはずの奴に追い上げられる恐ろしさみたいなものも見せられた気がする。