>>465
中田軍曹が負傷兵たちに「うんこら、うんこら云うな」と、怒鳴ったのも、市川大隊長
へ 「うんこら、うんこらもう云いんさんな」云うことなんよ。 神輿に無礼な態度は
出来んけぇのう。 じゃが下士官が雲の上の大隊長に、平気で押さえ説得させる
日本最強の広島聯隊はさすが伝統の 重みじゃのう。 通常下士官は、直接大隊長と会話
しちゃいけんわけで。
[ 市川少佐は仰天した。(またか!)と思った。しかし今度だけは無茶だ! とも思った。
しかし、 放ってはおけない。「各部隊前へ!」より他になかった…。
 仙台幼年学校の区隊長から、この歩兵十一連隊(広島)の第三大隊に転任して来た
市川正は、 しばしば戦理に合わぬ攻撃法をやらかす部下たちを、ほとんどあきれていた。
(これが伝統と言うものだろう!)と、そう思うより他なかった。
しかし、激戦場にぶつかると、てんで頼もしかった。勝つこと以外には何も考えて
いないのだった。 「とにかく、こうしましょうや」と提案する中隊長たちの方法は、
てんで敵を無視していた。 けれどもそれは百発百中、成功するのだった。]
戦闘方法も郷土聯隊は、その地域の戦い方の伝統で、日本軍のマニュアルも無視して、
自分らのやり方で戦うのみよのう。