忘れたくても忘れられない小学生の頃の衝撃的だった話。
小2の頃に道徳の時間に、人をイジメたり嫌ったり事はいけない、みたいな授業をやった。
そこで先生が「誰か嫌いな人はいますか?その人はそんなに嫌わないといけない事をしましたか?もう一度よく考えてみて?」と、みんなに問いかけて「嫌いな人はいますか?その人の事を嫌いな理由はなんですか?」と何人かを指して聞いたけど
みんな「いません」とか、いてもよく考えると大した理由じゃなかった…みたいな感じで、先生がAちゃんに同じ質問をしたら、Aちゃんは「おばあちゃんを車で轢いた人が嫌いです。理由は救急車を呼ばないで逃げたからです」と言った。
Aちゃんのおばあちゃんは入学してすぐに、ひき逃げで亡くなっていて、まだ犯人も捕まっていなかった。
そこで、先生がどういうリアクションしたとか、どうやって授業が終わったとかは覚えてないんだけど、昼休みにAちゃんが先生に呼ばれて行った。そして放課後もまた先生に呼ばれた。(子供心に、先生は1年生の時はまだ学校にいなかったから、ひき逃げの話をしてるんだろうな、と思ってた)
次の日、朝の会が終わる時に先生が「あ、みなさんにAさんからお話があります」と言ったらAちゃんが前に出て、小さい声で「昨日は…………と言ったけど、本当はいません…、すみませんでした…」と言った。
後ろの方の子が「聞こえませーん」と言ったら先生が「ほら、大きい声で言わないと聞こえないよ」と言ったらAちゃんは「昨日はひき逃げ犯人が嫌いと言ったけど、本当は嫌いじゃありませんでした!すみませんでした!」と言って、ポロっと涙を流して席に戻った。
みんなが「え…?」ってなってると、先生が「Aさん、よく言えました!昨日Aさんとお話したら、Aさんはちゃんと先生の言った事を理解してくれて、人を嫌ったり憎んだりするのは良くないと分かってくれました!みんなAさんに拍手!」と言って、パラパラと変な拍手が起きた。
みんな、なんとなく先生が無理やり言わせてるのも分かってたけど、先生は絶対!の昭和の田舎の小学校だったので誰も先生に意見できなかった。
アラサーになった今でも時々「ひき逃げ犯人の事は嫌いではない」と言わされたAちゃんの事を思うと心が苦しくなる。