352 投稿日:2019/05/27(月) 01:44:02.49
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン神経科学研究所が、16組の男女のカップルを被験者にして、
相手に共感したときの脳の反応を[MRI]で謂べた。
脳内の血流の変化を観測することで、どの部分が活動したのかを知る最新機器だ。
被験者であるカップルの一人が機材のなかに頭を入れ、もう一人がその横に座って、それぞれの右手の甲に電極をつける。
被験者はパートナーの姿を見ることができないが、鏡を使って自分と柏手の右手だけは確認できる。
この状態でそれぞれの手の甲にランダムに電気ショックが与えられる。弱い電流(ほとんど痛みがない)と
強い電流(かなり痛い)の2種類で、どちらの電流かはモニターでわかるようになっている。
自分の手に強い電流が流されれば、パートナーの手に同じ刺激が与えられたとき、どれくらい痛いかが想像できる。
だとしたら、それに対応する脳の共感の部位が活勒するはずだ。
――
私たちは無意識のうちにリアル(自分に対する危害一とヴァーチャル一他人事一)を区別しており、
だからこそ絶叫しながらも残酷なホラー映画を楽しむことがでぎるのだ。

しかしそれでも、鏡に映ったパートナーの右手の甲を見るだけで即座に「共感システム」を起動できるのは驚くべきことだ。
さらに興味深いのは、こうした能力をもっているのがどうやら女性だけらしいことだ。

 研究者は男女の被験者に同じ実験をしたはずだが、脳の共感領域が活動したのは「女性のパートナー」とはっきり限定されている。
男性のパートナーについてはなんの言及もない。
女性は夫や恋人の身に起ぎたささいな変化を素早く察知し、相手の喜びや悲しみを想像して共感できる。
それに対して、男性にはそのような「超能力」がない。この男女の性差から、世の女性の多くが男の鈍感さに怒り・絶望し、
おうおうにしてあきらめるのではないだろうか。
しかしこれは、男からすれば仕方のないことだ。どんなに責められても、「脳が活動していない」のだから。
とはいえ、女性の読者はこれでがっかりすることはない。実験では、鏡に映るパートナーの手に共感できるかどうかが
調べられただけだ。
あなたが夫や恋人の目の前ではっきりと痛みを示せば、いくら鈍感な「男性脳」でも共感の部位を活動させるはずだ、たぶん。
橘玲