10年以上の付き合いの友達だった人。
私は肉系の持ち帰りand飲食店をやっていて店の食材庫にはたくさんの食材があった。
加えて阪神の震災をテレビで見て以来災害に対してというか、災害後に対してものすごい不安症なこともあり、発電機、かまど、簡易風呂、貯水タンクなど災害に備えるものが過剰な傾向だった。
自分家族だけでなく知人や地域の人まで助けられるようにと思ってしまっていたとおもう。
家族や多くの友人たちは少しからかいながらも災害時には頼らせてもらうね、と受け止めてくれていた。
ただ、1人だけ「こんなに備えてる事知られたらたかられるだけだよ!人は災害時にはケダモノになる!」と激しい反応の友達がいた。
だから自分や誰かが少しでも助かるように備えてるんだよと言っても強奪が起きると譲らなかった。
そしてあの大震災。
建物の被害は大したことはなかったが電気も来ず、発電機は高級種じゃ無いので冷凍冷蔵庫には使えないことがわかっていたので、食材がすぐに傷んでしまうからと早々に炊き出しをしていろいろな人に振る舞い、名前も知らなかったおばさまたちに日持ちする調理をしてもらったりした。
施せてどこか得意になっているというか、今まで想定して備えてきたことが役に立ってとにかく変な達成感だったのは確か。
身を寄せてきている人たちはマナーも良く、通りすがりの人たちに食べ物を持たせればあんなに貴重だったガソリンを持ってお礼に来てくれたりした。
でも2日目に来た彼女はずっと食材庫を見張り、身を寄せてくる人達に身分証明をさせようとしたり、対価を要求したりしていた。