>>249
週刊ダイヤモンド2/9
佐藤優(作家、元外交官)
>
外務省時代に研修生の教育係をしていたころ、モスクワ高等経済大学とモスクワ国立大学地理学部に研修生を送り込んだときの経験です。
共に外交官試験合格者の中でもなかなか優秀な成績を収めていたんですが、成績不良で退学になってしまった。
そこで大学の教務部長に「いったい何に問題があるのか」と理由を聞きに行った。
私はてっきりロシア語力の問題と思ったんですが、「そうではない。問題は別にある」と言う。
一つは数学。微分積分や行列、ベクトルなど線形代数が全然できない。
だから授業に付いていけない。
二つ目は、アリストテレスの昔から論理の基本となっている「同一律、矛盾律、排中律」(→最終頁解説参照)が分からない。
だからディベートができない。
そして三つ目に哲学史の知識に欠けるので、思考、思索の型というものが分かっていない。
日本の教育というのはかなり特殊なんじゃないかと、言われたのです。
聞き取りをしてみると、確かに文系は高校数学、下手すると中学段階でも数学をきちんとやらなくて済む。