>>62のつづき)

やがて、繁忙期という大波が収まり、通常の体制に戻りました。
ある日、全従業員が集まった朝礼で、社長の話がありました。

「皆さん、この1か月の間、会社の忙しくなった時期に休日出勤という形で協力して下さり、
ありがとうございました。そのお礼として、全員いっぺんにというわけにはいきませんが、
休日出勤してくれた日数分だけ交代交代で平日に休めるようにしておきたいと思います。」

朝礼が終わって部署に戻ると、テーブルにカレンダーが広げられていました。
よく見るとそれぞれの日付に数人ずつ、従業員の名前が書かれていました。
やがて、上司の説明が始まりました。
「休日出勤おつかれさま。とりあえず、臨時に出てくれた日数分だけ、平日の休みを
各従業員に割り当てておいた。日にちを変えたいという希望があれば早めに言ってくれ。」
早速、Aが自分の名前を探しました。
「私の、私の、……あれ、ないよ。」
上司が答えました。
「そりゃそうだよ。ないよ。だって、Aは休日出勤に一度も来なかったじゃないか。」
Aが不満を漏らしました。
「えー、平日の観光地はすいていて行きやすいじゃん。いい男を見つけるチャンスが減っちゃう。」
この場でまさか、いい男云々の話を持ち込むかよ。これにはさすがに周囲もドン引き。

Aの4回の無断欠勤に対して訓告などの処分は多分なかったでしょうが、それでも、
サボった分はあとでちゃんと自分に返ってくるという、昔からよくある教訓そのままの展開でした。

【余談】
1年後、従業員のB(♀)からゴールインの報告が来ました。
話によると、あのときにもらえた平日の休みに観光地へ出かけたらいい男と出会ったとのこと。
それを聞いてAはくやしがっていました。
「私もちゃんと休日出勤していれば……。 。・゚・(ノД`)・゚・。」

おわり。